絵本のサンプル
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表紙
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直美ちゃんの
クリスマスの願いごと
あなたに贈るお話しの本
ますやま あつし作
CABジャパン編集ヴァレリー・ウェブ画
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クリスマスの願い事
ますやまあつし作/CABジャパン編集
発行所●ドリームプロジェクト
P1
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P2
石川 直美様
メリークリスマス!
これはあなたのために特別に作られた本です。
Merry Christmas!
大切な直美ちゃんへ、心をこめて贈ります。
2011年12月24日
誠より
P3
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「今年のクリスマスプレゼントはどうしよう?」
20歳の直美ちゃんはため息をつきました。
世の中はクリスマスムードー色。
街はうきたつような空気に包まれています。
でも直美ちゃんの目下の悩みは、
とおるくんや、よしきちゃんや、
けんたろうくんへの
クリスマスプレゼントが
きまらないことなのです。
部屋に飾られたクリスマスツリーを眺めながら、直美ちゃんは20回目のため息をつきました。
P4
P5
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P6
幼い頃、クリスマスの朝には、
プレゼントがいつも枕元に置かれていました。
でも直美ちゃんは、もう自分でプレゼントを
探しにいかなければならないのです。
『電話一本、30分でお届け』してくれる、
ピザ屋みたいなサンタクロースはいないかなあ。
プレゼントのことを考えすぎて、
直美ちゃんの頭はオーバーヒート気味!
そのときでした。郵便受けがコトリ、と小さな音をたてたのは。
P7
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郵便受けをのぞくと、見慣れない模様をあしらった
一通の手紙が入っていました。
そこには消印も、八王子の
直美ちゃんの住所もありません。
ただ、『石川 直美様』という文字があるだけです。
封を切った直美ちゃんは驚きました。
そこには、こんな文章があったのです。
石川 直美 様
わしはサンタクロース。
クリスマスももうすぐじゃが、いかがおすごしかな。
サンタクロース??
直美ちゃんの頭はいっきに真っ白になりました。
P8
P9
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P10
サンタクロースの国は今、
クリスマスプレゼントの準備で大忙しじゃ。
なにしろ、世界中へプレゼントを運ぶんじゃからな。
直美ちゃんはどんなプレゼントをお望みかな?
サンタクロースの国、特製クッキーはどうじゃ。
もみの木の形をしていて、それはそれは美味しいクッキーじゃよ。
P11
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直美ちゃんはやっぱりそうかと思いました。
これは最近、近所にできたケーキ屋の、
ダイレクトメールに違いありません。
でも手紙の文章はまだまだ続きます。プレゼントの用意ができると、
今度はトナカイたちの準備をしなきゃならん。
金の鈴がついたひもを、一頭一頭つけていくんじゃ。
これがあの有名な
「ジングルベル」という曲になるんじゃよ。
P12
P13
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P14
直美ちゃんは信じられない、と思いました。
サンタクロースなんて架空の人物で、
そんな話はとっくに卒業したはずなのに・・・
でも手紙には・・・
サンタクロースなんているもんか、
と思っておるじゃろう。
サンタクロースを見たかったら、
クリスマスイブにサンタクロースの国にくるとよい。
世界中の国々に飛び立つサンタクロースのソリを、
一般公開しておる。
P15
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直美ちゃんは、またわからなくなりました。
どうやらこれはケーキ屋どころではなさそうです。
もしかするとフライドチキンの店かもしれない|?
直美ちゃんの脳裏に、小太りで、
めがねをかけ、いつもニコニコして町角に立っている、
とあるおじいさんの姿がうかびました。わしはみんなの視線を浴びながらソリに乗り込む。
まるでスターになったきぶんじゃ。あたりは大騒ぎさ。
みんなの寝顔を見るのもいいが、
幸せそうな笑顔を見るのは、もっといいもんじゃよ。
P16
P17
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P18
直美ちゃんはちょっとばかり想像してみました.
もし自分がサンタクロースの国に行けたら!
なんてわくわくする光景なのでしょう。
そうか、これは旅行会社のパンフレットなんだ!?
『冬休みはスキーをかねてサンタクロースの国へ!!』
こんなキャッチコピーがうかびました。みんながわしに手をふってくれておる。
いよいよ出発じゃ。忘れ物はないかな?
P19
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それからわしは、トナカイたちに、
「さあ、行こう!」と声をかける。
するとソリはあっというまに空の上。
空気は冷たいが、とてもよい気持ちじゃ。
いちど乗せてやりたいくらいじゃよ。この手紙は航空会社のパンフレットかもしれない !?
と直美ちゃんは考えました。
北欧の空を遊覧飛行する会社なのです。でも、直美ちゃんは高いところはちょっと苦手です。
P20
P21
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P22
めざす家に到着すると、さあ仕事じゃ。
エントツから、といいたいところじゃが、
近頃はエントツのない家が多いから大変じゃ。
なんとか家に入りプレゼントを置いたら、
すぐ次の子の家にいかなきゃならん。
プレゼントのリストは、
子供たちの名前でいっぱいじゃ。こんどは警備会社のパンフレットかな?
と直美ちゃんは思いました。
『サンタクロースも入れない防犯装置』じゃ、サンタクロースがかわいそうです。
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目のまわるような夜を過ごして、
クリスマスの朝に帰ってくることには、
もうへとへとじゃが気分はそう快じゃ。
この一夜のために、一年を過ごしておるからな。
わしは妻に子供たちの様子を話してやる。
あの子は今年もいい子にしておったよ、
というと、妻もとても嬉しそうじゃ。
そうそう、わしは 直美ちゃんの、子供のときの
寝顔を見たこともあるんじゃよ。結婚案内のパンフレットだったのか、
と直美ちゃんは思いました。でもサンタクロースにもおくさんがいるなんて!
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クリスマスの前には、
たくさんのおもちゃを作る仕事がわしを待っておる。
家では、一日中にぎやかな音がしているが、
それはおもちゃを作る音なんじゃ。こんどは隣町にできた大きなおもちゃやさんかな?
と直美ちゃんは考えました。
そして子供のころ、目が覚めると、
きまって枕元に置かれていた
プレゼントのことを思いうかべました。
昨夜までなかったおもちゃが、朝そこにあるのは、とても不思議で、魔法のようでした。
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直美ちゃん、
お前さんはもうおもちゃで遊ぶ子供ではないが、
今回のクリスマスには、特別にプレゼントをあげることにしよう。
はてさて、何だと思うかね?
この手紙を最後まで読んでくれれば分かるが、それはまだ秘密じゃ。
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P30
そろそろたくさんのプレゼントが、
きれいに包まれて、いろんな国に旅立つところじゃ。
サンラクロースのプレゼントのというもんは、
タダおもちゃを包んでいるだけではないぞ。
その中には、
夢だの、希望だの、感謝だの、愛情だのといった
気持ちがいっぱいつまっとる。
子供たちは、プレゼントをあけたとき、
その気持ちも一緒に受け取ることになるんじゃ。
もちろん、直美ちゃんや
とおるくんや、よしきちゃんや、
けんたろうくんへのプレゼントにも入っておるとも。
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さあ、いよいよ出発じゃ。
わしはおなじみの赤い服を着る。
北極の空の凍るような寒さも気にならんような、
完全防寒仕様じゃ。
プレゼントをつめた大きな袋をソリに乗せ、
たくさんの子供たちに会えるのももうすぐじゃ。
外はもう、心身と雪がふっておる。
直美ちゃん、お前さんへのプレゼントは、
誠に預けておいた。ま、楽しみにしておれ。
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わしは空をひとっ飛び。
ヨーロッパ、アメリカ、アフリカ、アジア、そして
八王子にもプレゼントを届けにくぞ。
プレゼントを待っとる子供たちは世界中におるからな。
そうじゃ、忘れておった。
わしがこんな手紙を書いたのは理由がある。
プレゼントが無事お前さんへ届くには、
ひとつ条件があるからなんじゃ。
それはクリスマスの朝に、ひと言こういえばよい。
つけくわえるなら、できるだけ明るく、楽しくやってくれ。直美ちゃんは、
いそいで最後の紙をめくりました。そこには・・・
P35
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メリークリスマス!
直美ちゃんは、
とおるくんや、よしきちゃんや、
けんたろうくんへの
プレゼントを選びにコートをはおると、
楽しそうに出かけて行きました。
ポケットには、サンタクロースからの手紙が入っています・・・
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裏表紙
<こんな方へ>